マーケットサイクルの理解のための市場分析を徹底解説。

「マーケットサイクルを理解したいので、市場分析の方法が知りたい。」
「景気動向と不動産市場の7年サイクル理論とは?」

本記事では、マーケットサイクルの理解のための市場分析、景気動向と不動産市場の7年サイクル理論について解説します。

マーケットサイクルの理解のための市場分析

不動産市場の 4つのフェーズ

まず、サイクルには通常4つのフェーズがあります。こちらの概念は、カナダの不動産業者が提唱したもので、国際的には一般的です。典型的な形は、以下の4つのフェーズから形成されます。不動産市場も他の産業と同様、マクロ経済の影響を受けるので、次の流れは変化します。

回復

景気が回復して、不動産需要が増加する局面です。需要増により価格は上昇し、こちらの時期は売り手市場(賃貸住宅)になりやすいです。また、回復局面では、着工件数の増加や新規物件の立ち上げが期待されます。

拡大

こちらの局面では、市場は底堅く、需要とともに供給も増加する傾向にあります。こちらの局面が長く続くほど、一般経済への好影響は大きくなり、経済成長につながります。

ただし、不動産の場合、新規物件の供給にも時間がかかるため、通常はタイムラグが生じます。景気拡大の後半になると、賃貸料の伸びが鈍化し、空室率が上昇し、賃貸契約までの期間が長くなるのは、この局面が終わりに近づいている兆候です。

後退

不動産の不況時には、マクロ経済の減速がすでに始まっており、空室が埋まらないため、賃貸人は賃料の引き下げ、フリーレント期間の導入、テナント建設への支援を行ます。建設側でも、景気減速が続くと予想されるリセッション後半には、プロジェクトの中断や竣工時期の見直しなどの調整が行われます。

修復

一般的に「後退」と「修復」は、リセッション(経済後退時期)のことです。しかし、景気後退期とは異なり、回復期は将来の見通しが改善し始める時期であす。

こちらの時期(特に下半期)は、回復の兆しをいち早く察知した投資家や、企業などが購入や賃貸を始める時期でもあります。こちらのグループの勢いと全般的な経済の流れの速さによって、回復局面の終わりも変わり、次のサイクルの勢いと期間に影響します。

景気動向と不動産市場の7年サイクル理論

オフィス・工場・商業施設は経済活動の生産拠点であり、マンション・アパート・戸建住宅は人々の生活を支える生活拠点です。不動産が経済・社会活動を支える基盤である以上、経済・社会の動向と直結するのは必然です。

こちらの様な不動産と経済の関係から、金融市場では7年周期説とセットで、不動産市場のサイクルが語られることがあります。

ドル安による通貨不安を解消するために、先進国が協調介入した「プラザ合意」(1985年)後、日本は空前の好景気に沸きました。そちらの7年後にバブル経済が崩壊し、その7年後にインターネットの台頭による「ITバブル」が発生しました。

そちらの崩壊から7年後、リーマン・ショック(2008年)で、世界経済は大混乱に陥りました。

その後、2012年に自民党が政権を奪還し、アベノミクスと呼ばれる成長戦略が市場を牽引し、2020年には東京オリンピック、2027年にはリニア新幹線が開通し、絵に描いたような7年周期説が証明されました。

こちらの30年間で、不動産市場も土地神話とその崩壊、オフィス需要の高まり、マンションブームなど浮き沈みを経験し、こちらの定説を裏付けてきました。しかし、新型コロナウィルスの発生、オリンピックの延期、リニア着工の遅れなど、市場の先行きが不透明となり、こちらの定説は揺らいでいます。

歴史は繰り返すという言葉があります。公共事業や企業活動には、事業計画のスケジュールがあり、ある程度予測可能な活動もあります。しかし、一般的な経済活動や社会活動にはサイクルはなく、法則性もありません。

7年サイクル説は、インフラ整備のスケジュール感と偶発的に導き出される経済事象を、やや強引に組み合わせたものなのかもしれません。

不動産投資をする場合、7年サイクル説を一つの知識として、理解していれば十分です。ただし、リニア新幹線や緑産地問題など、政府が推進する大規模な経済計画については事前に理解しておく必要があります。

市場サイクルから読み解く不動産投資市場の展望

以上のように、過去の取引市場の第1サイクルにおいては、不動産の証券化の進展、国内外の投資ファンドの過剰流動性、企業保有不動産のオフバランス化などを背景に、J-REITや私募ファンドの市場規模が急拡大した結果、取引件数が急拡大(または縮小)し、大幅な減少(または増加)が見られます。

不動産投資市場は第2サイクルに入りましたが、回復局面にあるにもかかわらず、足元では取引件数の増加傾向の鈍化が目立ちます。

そちらの背景には、ファンドブーム時のブラインドプール型(取得物件を特定せずに、投資家がファンドに出資する方式)による積極的な投資とは対照的に、最近の傾向は小規模ファンドによる選別取引(エリア・スペック)であることが挙げられます。

こちらは、投資家がファンドのコントロール性を重視する傾向が強まっているためと考えられます。

まとめ

マーケットサイクルの理解のための市場分析、景気動向と不動産市場の7年サイクル理論について解説しました。

マーケットサイクルの理解のための市場分析について知りたい方は、是非ご参考にしてください。

おすすめの記事