「不動産新築と中古の市場について知りたい。」
「日本は国際的に見ても新築志向がある?」
本記事では、不動産新築と中古の市場、日本は国際的に見ても新築志向があるのかなどについて解説します。
不動産新築と中古の市場分析。日本は国際的に見ても新築志向がある?
新築志向の日本で中古物件市場はどうなっているのでしょうか?国土交通省の調査から分析します。
国土交通省の「平成30年住宅・土地統計調査の集計結果」から、日本人は国際的に中古住宅よりも、新築住宅を好む傾向があることが明らかになりました。調査結果は、以下の通りです。
中古住宅を選ばない理由
中古住宅を選ばない理由で最も多いのは「新築したいから」
その他の理由としては、「欠陥が隠れているかもしれない」、「リフォームやメンテナンスの費用が高くつくかもしれない」などが挙げられています。こうした中古住宅に対する不安が、日本の新築志向を助長しているのかもしれません。
国によって市場規模は異なりますが、日本は中古住宅の流通比率が、他国に比べて圧倒的に高いです。こちらの結果は、国際的に見ても日本が新築志向であることを示しています。
地域差は新築マンションの価格動向にも見られる
2023年(年間ベース)の首都圏の新築マンション発売戸数は、26,886戸で前年比9.1%減。東京都心部を中心に高級・高額住戸の販売が増加した一方で、東京23区以外のエリアでは供給戸数が減少し、2年連続で3万戸を下回る結果になりました。
東京23区の平均価格は、前年比39.4%増の1億1,483万円と大幅に上昇し、初めて1億円の大台を突破しました。大幅な値上がりにもかかわらず、成約率は70.3%と3年連続で70%を超えました。成約率が最も低かったのは、埼玉県の61.0%、最も高かったのは千葉県の77.7%でした。
東京23区の平均価格は、前年より大幅に上昇しましたが、東京都は+3.7%、千葉県は+4.0%、埼玉県は-7.5%でした。価格動向には、地域差が顕著に表れています。
2024年の供給予測は3.1万戸で、3県とも増加が見込まれています。販売在庫戸数は、前年比+368戸とほぼ横ばいが予想されていますが、地域によっては需給が緩む可能性があります。
コロナ後の3年間で、中古マンションの成約坪単価は3割上昇した
一方で、首都圏の2023年の中古マンション成約件数は、前年比1.6%増の3万5987件、平均坪単価は同6.9%増の71.9万円でした。
新築マンション市場と異なるのは、地域による上昇率の差が小さいことです。東京23区の1平方メートル当たりの成約価格は、前年比5.4%増の105万710万円で、東京都平均の上昇率を下回りました。また、コロナ後の3年間で、首都圏の中古マンションの1平方メートル当たりの成約価格は約30%上昇しました。
上昇率は2021年8.4%、2022年12.4%、2023年6.9%で、直近の1年間は過去3年間で最低でした。2024年は中古マンション価格の上昇が、さらに鈍化する可能性があります。
【2023年12月版】首都圏の最新の新築マンション市況
次に、2023年12月の首都圏新築マンション市況を見てみましたら、2023年12月の首都圏の新築マンション販売は、総じて低調に推移しました。今後の動向が注目されます。
2023年12月の首都圏の新築マンションの市場動向
新規販売戸数 | 1戸当たり平均価格 | ㎡単価 | 契約率 | |
2022年12月 | 5,757戸 | 5,556万円 | 86.8万円 | 74.8% |
2023年11月 | 2,743戸 | 8,250万円 | 128.0万円 | 74.2% |
2023年12月 | 5,975戸 | 6,970万円 | 107.2万円 | 66.1% |
首都圏の新築マンションの市場動向
不動産経済研究所発表「首都圏新築分譲マンション市場動向 2023年12月」を元に解説します。
2023年12月の新築分譲マンション戸数は、前年同月比218戸増の5,975戸でした。契約率は66.1%で、前年同月比8.7ポイント低下しました。
首都圏の新築マンションの1戸当たり平均価格は6,970万円で、前年同月比25.4%上昇しました。エリア別では、東京23区が前年同月比8.9%増の9,041万円。東京都下が5,143万円、神奈川県が6,475万円、埼玉県が4,784万円、千葉県が4,930万円。東京都だけが前年を下回りました。
販売在庫は6,287戸で前月比1,472戸増、2023年12月末在庫は5,919戸で、前年比プラスになりました。
まとめ
不動産新築と中古の市場、日本は国際的に見ても新築志向があるのかなどについて解説しました。
コロナ後の際も住宅市場は好調でした。住宅市場の規模は拡大を続け、過去2年間で過去10年間で最大の市場と同じレベルまで成長しました。在宅勤務の新常態化などが、こちらのレベルの市場規模を、より合理的なものにしたという見方もできます。
しかし、新築住宅とともに中古住宅も検討する傾向、在庫住宅数の増加、市場規模の伸びの横ばい傾向など、潮目がやや変わった兆候も見られます。
加えて、長期金利の上昇、コスト圧力による価格上昇、地政学的リスクによる建設コストの上昇、賃上げなき家計の圧迫など、マクロ経済要因が住宅市場を鈍化させるとの懸念が高まっています。住宅市場は減速局面に差し掛かっているみたいです。